トラベラー
first day 〜3 |
「本日はわが社の新商品の御披露目会にお越しいただき真に………」 長い前置きを聞きながら、キラはぼんやりと立っていた。 周りには着飾った人たちばかり。 キラも普段は着ないドレスを着たし、化粧もした。 でもやっぱり劣っている気がして、身を狭くする。 ふと、視界に見知った色があるのを見てキラは目をぱちくりさせた。 「フレイ?」 相手も気づいたのか、にこやかに微笑んだ。 「キラじゃない!どうしたの?もしかして、キラが被験者なの?」 一気に言われて驚きながらも、うんと頷く。 「フレイは・・・・?」 「私はパパに出てって言われたからよ。ここの社長と知り合いらしいから」 「そうなんだ・・・」 やっぱりフレイとは世界が違う気がした。 早く終わらせたい・・・ そう思ってキラは時が来るのを待った。 フレイは相変わらずしゃべり続けていたから、曖昧に頷いた。 「では、抽選で当選した方、こちらにお越しください!」 「!!!」 どきりとして、キラはばっと顔を上げた。 他の参加者が何人か前に出て行く。 本当にいくのかな・・・・ 今更になって怖くなった。 うう・・・・・・・ でも迷惑かけられないし・・・・・・ 覚悟を決めて前に出て行った。 タイムスリップの機械、それは繭のような不思議な形をした物体だった。 周りの人が何かいっていたけど、頭がぐるぐるで何が何だか分らなかった。 どうでもいいから早く終わって〜・・・・・ 「では、いってらっしゃいませ!」 「え・・・・・・・・・・・?」 その声がきこえた瞬間、全てが真っ白になった。 眠くないはずなのに瞼が重くなる。 何・・・・・・・・・ これ・・・・・・ 薄れ行く視界の中で、景色が逆回りしているように見えた。 誰かが近寄るのが見える。 その人が何か叫ぶ。 何・・・・・・・・? それが、キラが現世を見た、最後の瞬間だった。 |
あとがき
先に出来上がってしまった・・・
進行のろくてすいません;;