「あの…本当にいいですから…」
さっきから何度も口にした言葉をまた言って、心の中でレイはため息をついた。
「いやいや、せめてお礼ぐらいしないとこちらの気がすまないだろう?それにそんな格好で放っておけないよ」
ちらりと自分の姿を見れば、肩辺りにお茶のシミがべったりついている。
あの時は焦っていて気がつかなかったが、それはひどい汚れになっていた。
確かにこんな姿で町中を歩けば、変に見られるかもしれない。
でも…
「でも…人を待っていなくちゃいけないんです」
カガリが来るかも知れないのに・・・・
自分がいなかったら大変なことになってしまうかもしれない。
だが、彼はがんとして譲らない。
「…お前、こういう時は素直に好意をいけとれ」
近くで声がしたので驚いて振り向くと、そこには銀髪の少年が立っていた。
後ろにいた金髪の少年がそれをみて目をみはり、アロハシャツの人もおや、という表情をしていたが、レイには何故なのか分からず
ただ惚けたように少年の顔を見上げた。
だが、少年はすぐに顔をそらしたため一瞬しか顔が見れない。
だけど、一瞬だけ見えた顔が赤くなったように見えたのは気のせいだろうか?
じーっと銀髪の少年を見るが、ついに彼は背を向けて歩き去ってしまった
「・・・・・・」
好意・・・
どうやら自分はこういう言葉に弱いらしい
折角言ってくれてるのだから、少しぐらいいいよね
そう決めて、レイは彼らの運転するジープへと乗った。
2004.11.21
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