不思議な巡りあわせで 



第6章




「レーイー!」


カガリは大声で彼女の名を呼んだ。

だが返事はなく、周囲をぐるりと見渡しても見えるのは機械ばかり。





ここは明けの砂漠の情報収集の場であるコンピュータルーム。

外からは見えないように洞窟の中に作られている場所だ。







ガタガタ…




「?」


どこからか声が聞こえたのでその方向を見やると、そこにはやや色白な人間の手が奥から突き出ていた。


「…レイ…」





「な〜にー…カガリ?」




ひょいと出てきたのは栗色の髪の少女。


「…まだやっていたのか…」


ハァ…と飽きれるカガリに対し、レイと呼ばれた少女はニコッと笑った。


「あと少しだったから」

「そ…そんなに根つめなくてもいいんだぞ?」


まずかった…
レイの笑顔は心臓に悪い。ここへ来てそんなに短くないはずなのにいまだに慣れないのだ…

あっさり言ったつもりだったがうまくいったか自信がない。
それほど自分の心臓はドキドキしていた。





レイがここに来てから早二週間。

最初の内はけがのせいで動けない状態が続いた。

しかし元からの性格だったのか、動けるようになってからレイはすぐに皆と打ち解けた。

いつも楽しそうに微笑み、優しいレイはいつの間にかアイドル的な存在にもなっていた。

しかも可愛いだけでなく、プログラミング能力にたけていることがわかった。

というよりかコンピュータ情報関連についてはすさまじいまでの能力者だったのだ。

ここにいる者とはまるで違うプログラムの組み方。また、その完成度も段違いだったのだから。


今レイがここにいるのもその理由だった。






「終わったよ!」


カガリが悩んでいる間に終わったらしく、レイはこちらに近づいていた。

髪は以前より少し長くなり、印象的な紫紺の瞳が無邪気にカガリを見つめている。

多少緊張は薄れていたので用件を伝える。




「今日バナディーヤへ行かないか?」


「…バナディーヤ?」



レイはキョトンとしてカガリを見る。



「あぁ…レイ知らないんだっけな。バナディーヤは町だよ。何か買い出しがあるらしくてさ。レイも行かないか?」


その言葉にあぁと納得すると、ニコッと笑った。


「うん!」













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