不思議な巡りあわせで 



第5章



ここは何処なんだろう

自分はだれ・・・・?

僕・・・いや、私・・・?

なんでこんなところにいるのだろう。



困惑した思考のなか、『私』は目を覚ました









「目を覚ましたのか!?」




そんな大声に彼女はびくっと身を縮込ませた。
目の前には荒い息をついたままこちらを見る少年。



―――うわぁ・・・・金色だ・・・・



太陽みたい・・・と少女は思った。






「・・・えっと・・・・あの・・・・・どなたですか・・・?」






少女は少年、カガリへと問いかけた。

カガリは少女に聞かれてウッと言葉に詰まった。そこへドクターが助け舟を出してくれる。


「彼はカガリ。あなたを助けてくれた人よ」

「そうなんですか!あの・・・ありがとうございました」



ペコッと頭を下げる少女に、カガリは慌てふためいた。
何せこういう少女と話すことと免疫は少ない。そのため、どうしてよいのか頭がついていかないのだ。



「いや・・別に・・・・ってか、えっと・・よろしく・・・・・・・あ〜っそうだ!!お前の名前は?」



しどろもどろながらも言った言葉に、少女は困った表情になった。



―――何か悪いこといったのか?!


慌ててドクターに目を向けると、静かに答えてくれた。




「彼女はどうやら記憶が無いらしいの・・・・・。だから自分の名前もわからないみたい・・・」




その事実に呆然となり、再び少女へと顔を向けると、すまなそうな顔をして言った。ごめんなさいと。


「別にお前が謝ることじゃないさっ!あ―――・・・でも名前は必要だよな・・・う〜ん・・・」


目の前で唸る少年を見て、少女は思わず笑っていた。


ドキンッ!


「!・・・・わっ笑うなよ!」


少女のはじめてみる笑顔に赤面して、心臓がうるさいぐらい高鳴った。



「クスクス・・・・ごめんなさい・・・」

それでも少女の笑いは止まらない。




「あっそうだ!"レイ"ってのはどうかな?」




カガリが突然言うのでキョトンと目を見開く少女に、カガリはもう一度言った。


「"レイ"って言う名前。・・・・どう・・・かな?」


そういって少女を見つめる。


「いいんじゃないの?」

ドクターが笑って言ってくれた。




少女はカガリを見つめると、花が咲いたように微笑んだ。




「うん!ありがとう!カガリさん」



カガリは思わず照れ笑いを浮かべた。




「よろしくな。レイ」

「はい。こちらこそ」




そうして二人で笑いあった。




それを見たドクターは

「若いって良いわねぇ・・・・・・青春だわ・・・」

と呟いた。










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