不思議な巡りあわせで
第二章 星空のもと カガリはぼんやりと流れる景色に目をやりながら、傍で眠る少年を見る。 少年が気を失った後、カガリ達は少年ジープに乗せた。 大量の汗を流しており、ひどい熱があることが分ったため、額には水でぬらしたタオルがかけてある。 少年を見ていて気づいたのは、この少年こそが自分を助けた人物であるということだった。 ―――何でお前がMSになんて乗ってるんだよ・・・・ ひどく疲れた気がした。 この少年が生きていてくれたことは嬉しい。 しかし、MSに乗っていたことにはやり場の無い怒りが湧き起こるのだ。 「何でだよ・・・」 呟きながら、高熱でうなされる少年の姿を見つめた。 「カガリ!!」 キサカの声がカガリの耳に響いた。 屈強な男で、いつもカガリのお供をしている。 「何だよ」 苛ついたままにらみつけるようにして答えた。 今は早くこの少年をドクターに見せないといけないのだから。 「その者は?」 カガリは腕の中にいる少年を見た。 少年は驚くほど軽かった。本当にMSのパイロットだったのか、と思うほど。 自分はMSのパイロットではないが、やはりあんなものを動かすのだから、相当な体力を使うはずだ。 なのに――― と、脱線しかけた思考を戻し、キサカに言う。 「・・・・MSの・・GAT−X105ストライクのパイロットだ」 そう告げて、さっさと医療用テントの中に入った。そして、近くにあった簡易用ベッドに少年を横たえる。 カガリはジーッと少年を見た。 ―――こいつ・・・本当に男か・・・? 胸があるようには見えないし、そもそもMSに女の子を乗せるわけ無い・・・と思うのだが、どうにも男にも見えない線の細さや可愛い顔立ち。 だが、どうにも引っかかるものがあってカガリは少年を見続けていた。 「カガリさん。その人は私が見ますよ」 顔を上げると、そこにはドクターがいた。 ここで唯一医療知識のある人物だったので、ここではドクターと呼ばれ敬愛されている。 「・・・あぁ・・・わかった」 名残惜しそうに少年を見ると、カガリは足早にテントから出た。 外はすでに暗く、満天の星空が彼らを見下ろしていた。 |