不思議な巡りあわせで
第一章 その瞳に心を奪われた 陽炎が揺らめき、視界を濁らせる。 そう、其処は砂漠。 ぼやける視界の中に見える一つの影。 暑く、厳しい気候のその場所には、一つのMSの姿があった。 「おーい!!人がいるぞ!!」 その声に、金色の髪をした少年は振り向いた。 少年の名は、カガリ・ユラ・アスハ。 わけあって、今は砂漠のレジスタンス達と共に暮らしている。 そんな時、流星のようなものがこの砂漠へと落ちてきた。 カガリは視力がそれなりに良い。 目を凝らしてよく見てみると、それはMSのようだった。 そしてそれは、自分がヘリオポリスで見たMSに似ていたものだから、今日ここまで来たのだ。 予想は大当たり。 確かにあのMSはヘリオポリスで見たものだった。 ストライクと呼ばれる連合のMS。 ふと、自分を助けた少年の顔を思い出す。 ―――彼は無事なのだろうか・・・? 幾度と無く繰り返したその考えを振り払い、今は目の前のMSのパイロットのことを考える。 視線の先にあるMS。 損傷はそれほど無いが、中にいるパイロットが無事かどうかは分らない。 何せ大気圏から落ちてきたのだから、コックピット内の温度は半端なものではなかっただろう。 ―――果たしてパイロットは生きているのだろうか? そんなことを考えながら、カガリは仲間の呼ぶ声に向かって進んでいった。 コックピットを覗くと、確かに人の姿があった。 青いパイロットスーツに身を包み、ぐったりと横たわっている。 ―――細すぎないか?? 場違いなことを考えた自分を叱咤しつつも、パイロットをみる。 やはり、線が細く痩せている。 パイロットなのにこんな体で平気なのか、と疑問に思う。 「生きてるのか?」 「わからない」 近く仲間が聞いてくるが、良く見ないと確認できない。 そのためカガリは少年へと近づいた。 心臓に耳を当てるまでも無く、少年の体は上下にゆれ、呼吸していることが近くにいるだけでわかった。 ただ、妙に呼吸が荒い。 「生きている・・・・・おい!!しっかりしろ!!」 少年に呼びかけ、ヘルメットをいそいではずす。 『!!』 誰かがハッと息を呑む声が聞こえた。 そして、カガリもまた少年を見て言葉を失った。 現れたのはダークブラウンの髪、本来ならさらさらであるであろうその髪は、汗で少年の頬へ張り付いていた。 そして、乳白色のような象牙の肌。 一言でいえば、綺麗だった。 そして、儚い。 カガリはしばらく見とれてしまった。 が――― 「・・・・・・・・・・」 少年の瞳がうっすらと開く。その瞳にカガリは息を呑んだ。 深い海のような紫紺の瞳。 アメジストの宝石のように輝くそれに、吸い込まれる様な気がした。 「・・・・・だ・・・・れ・・・・・?・・・」 その声にハッとし声をかける。 「!!大丈夫か?!」 そう言った瞬間、少年は気を失った。 「おい!!」 カガリの焦った声が、狭いコックピット内に響いた。 |