IFの世界






「…っ」


ここは…?

体が鉛のように重たく、うまく動かせない。
鈍く痛む体をどうにか動かし、あたりを見渡す。
あるのはベッドとバスルーム。
一人の部屋にこんなに金をかけるなんて…とつぶやいて、ハタと気が付いた。

そうか…自分は捕まったんだ…
…殺される…のかな…

視界をずらすと、そこには鈍く光る刃物があった。

抵抗するとか自殺するとか考えないのかな…
それとも…
―死んでも構わない、ということなのか…

どちらなのか判断はつかなかったがどちらでもいい気がした。


自分は捕まってしまったのだから。

アスランに。


囲まれて身動きがとれなかった時デュエルが攻撃してきて、その瞬間イージスのクローがストライクを掴んだ。


助けてくれた…のかな…?


おそらくそうだろう。
あのままイージスが掴まなければデュエルのサーベルで真っ二つにされていただろうから。

でも…

殺してくれれば良かったのに…


どちらにしても捕まったのだから死ぬんだろうと思う。
あのまま地球軍、アークエンジェルにいても同じだろう。
結局僕はコーディネイターだったから。
そんなこと思いたくなかったけど、状況がそうさせてくれそうになかった。


裏切り者のコーディネイター。


アルテミスで言われたその言葉は鋭い刃となってキラの胸に突き刺さっていた。



キラは首を巡らせ虚ろな瞳で壁を見つめた。





「貴様!どういうつもりだ!!」


イザークは力任せにアスランを壁に叩きつけた。
うっとアスランはうめく。

二人の様子を見て、慌ててニコルが止めに入った。




「仲間同士で何をやっているんですか!」



「仲間だと!?…敵のMSを助けるやつの、どこが仲間だ!!」





その言葉にニコルはぐっと黙る。

確かに自分もそう思った。
でもアスランのことだ。何か考えているのだろう。

そう思い直してアスランに視線を向けた。
が、当のアスランはイザークの話などまるで聞いてないようで、何か考え込んでいた。


あながちニコルの思ったことは的外れではなかった。
アスランか考えていたのはキラのことだったのだから。


「…キラ…」


突然つぶやいた言葉をイザークたちは聞き止めた。


「キラ…?」


訝しげにアスランを見つめると、掴んでいた手を離した。
手が放れたのを良いことに、アスランはくるりと背を向け、歩き出した。


「ア…アスラン!?」


ニコルの呼びかけも空しく、アスランはそのまま部屋から消えた。

イザークが罵るのを耳にしながら、ニコルは閉じられた扉を見つめ、キッと顔を引き締める。


「これはアレしかありせまんね」


黒い笑みを浮かべたニコルに、一番ヤバいのはコイツだ!!と、イザークとディアッカは同時に思った。





あとがき
何でか捕獲話が好きなようです。
というわけで、「巡り」はアンケート終了まで止まってしまう為、書いたのがこれ。
中編なんて勝手に作ってしまいましたがこれはそれほど長くならない予定(オイ)
巡りはなるべく早く書きます(−−;;)


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