学園物語




「ふう…やっと終わった…」


今日やる分を終え、キラはいすに背を預けた。

思い切り背伸びするとすっきりする。



「あ〜肩こったなぁ…」



おばさん臭い言葉を呟いて、ベッドに寝転がる。

ふかふかのベッドは今は眠気を誘う。


でも、少し眠れない。


なぜなら、明日は受験の日だから。

今までの苦労。

それが発揮される日。


「何か緊張する…」


マラソンを走る前とか、テストの前みたいに、心臓がどきどきしている。

目を閉じると、それがやけにリアルに感じた。





暫く目を瞑っていたが、やはり眠れない。


仕方なく、キラは外に歩きに出た。



























外に出ると三日月だった。

肌寒い。

冬だからか夜気が冷たく身にしみる。

が、空の月を見上げるとそれも遠のいた。


輝く三日月と、隣に寄り添う星。

何故か今日は星が一つ。

寂しい気もする。

でも、綺麗だった。



「…綺麗…」



思わず呟いた息は白い。




もう帰るかな…



と、帰ろうとしたとき、不意に視線を感じた。

上から?



「?」



見上げると、キラも住む高層マンションの二階に、男の人がいた。

ベランダから、キラを見下ろす形でこちらを見ている。

何だろうかと視線を合わせると、男の人の顔が見えた。


まだ少年だった。

といっても自分と同じくらいだ。

翡翠の瞳に、濃紺の髪。

ひどく整った顔立ちに、キラは呆然となった。



同じマンションにこんな人がいたんだ…



なんだか感動した。

綺麗なのは芸能人だけかと思ってたけど、普通にいるんだな…


じっと見ていると、、男の人が少し微笑んだ。


「///」



微笑みも綺麗で、どぎまぎしてしまう。

だが、固まったままだと失礼なので、キラも小さく微笑んだ。

すると、彼は視線をそらした。

口元に手を当てている。




?何かおかしいことしちゃったのかな?!




よくミリアリアからも注意されることがある。

何だか自分はよく不思議なことをするらしい。


だが、すぐに彼は視線を元に戻した。

そして、部屋の中に消えた。




「…帰ろうかな…」



彼もいなくなってしまったことだし、部屋に戻ろう。

しかも寒いし。






中に入ってエレベーターの前で止まる。

すると、それは動いていた。

誰かが乗っているようだ。


どうしようかな…


階段を上るか、エレベーターを待つか。

暫く迷って、決めた。



「よし!」



階段を上ろう!

何か緊張してたし、運動すればほぐれるかも。


ちなみにキラの部屋がある階は19階。

最上階から一個下なのである。





「行くぞー!」



一人意気込んで、キラは階段を走って上り始めた。





























「はぁはぁ……」


つ…疲れた…


まだ10階ぐらいしか上っていない。

意外ときついんだなぁ、とかのんきなことを考えながら、ゆっくり歩き始めた。


それにしても、さっきの男の人は何だったたんだろう…


「きれいなひとだったなぁ…」


「あの」

「!!!!」



後ろから声を掛けられ、キラはびっくりして振り向いた。


「な…何か?」



と声を出してから、そこにいるのがあの男の人だと気がついた。

彼はわずかに息を弾ませながら、立っていた。



「あ…あの…」



何と言っていいのかわからなくて、キラはおろおろとする。



「これ…」



そういって差し出されたものを見て、キラは目を見開いた。



「あ…私の…」



そこにあったのは携帯に付けているストラップ。

前なくして、そのままだったのだ。

彼はキラのものだとわかると、ほっと息をついた。


「良かった…。後姿だけだったから少し自信がなかったんだ」



その割には凄く堂々としている。

まじかで見るとやはり凄く綺麗な人だった。



「あの…ありがとうございます」


ストラップを受け取ってキラは微笑んだ。



「…いや…」



彼は照れくさそうに頭をかいた。

それを見て、キラは少し驚いた。



綺麗な人だけど、普通の人なんだ…


だって普通じゃない感じがしていたから…


でも…

そりゃそうだよね

みんな同じ人だもの


妙に納得して、キラは何だか面白くて少し笑った。

それにつられて彼も笑う。





ひとしきり笑い終えて、彼はキラに聞いた。



「そういえば…名前、聞いてもいいかな?…俺はアスランっていうんだけど」

「あ…キラです。あの…アスランさんはここに住んでるんですか?」

「ああ、俺もここに住んでる。あ、俺のことはアスランでいいよ」

「じゃあ私もキラでいいです」



そういってまた二人で微笑んだ。














あとがき
アスキラ〜何だか妙に進みました(?-?)>"ハテ?




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