三章



何もない暗闇。
音さえ響かない世界。


――・・・・・・


何もつかめない、そんな世界にキラはいた。




すごい衝撃の後、気を失って気づいたらこんな所にいた。


動けなかった。
さっきまでは動いていたはずの体が重い。
だけど、外の様子だけは良く見れた。

デュエル、バスター、ブリッツ、そして・・・・・イージス。

つまり・・・・


――ここはザフトなんだ・・・・・


声は響かない。


――フラガ大尉もいないみたいだし・・・・・

――どうすればいいんだろう・・・・・


つぶやいて、外を再び見た。

今度は目の前に人がいた。


――・・・・・・・フラガ大尉?!


だが周りには、


――アスラン・・・・・


キラの心に苦い思いが広がった。


銃を撃ち合い、殺し合いをしてきた自分達。

本当は、一緒にいたかった。
ずっと、傍にいて欲しかった。
だけど・・・・・・


――もう・・・・・無理だよね・・・・

君の手を、振り解いてしまったのだから・・・・・








格納庫には面々がそろっていた。


フラガは目の前で大声を出して呼びかける。


「キラ!!出てこいよ〜」

「・・・・・・」


しかし返答は無い。


――出れない・・・・


どうしよう、とキラが悩んでいると、


「私が導きますわ」


――ラクス・・・?


その時はじめてラクスがいたことに気づいた。


「では・・・・・」


ラクスの体がピンク色の色を帯び始める。

と、キラがいる世界にも、淡いやさしい光が入り込んで、いつの間にか、それは一つの道を作り出していた。


キラは戸惑いながらも、その道を歩き始めた。







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