ミエナイ未来
「……」 フリーダムのコックピットで、キラはこれからどうするか考えていた。 補給ができる場所を探さなくてはいけない。 無論フリーダムにはまだ必要ないだろう。 だが、自分は違う。 そして、ふと思い当たることがあり、キラはあるところへ連絡を取った。 「ふう…」 話がつき、キラはある人物に会うためにある町へきた。 だが、町へ行って自分の素性がばれる可能性もある。 「仕方ない…か…」 そして、するりと髪を引っ張った。 その下から出てきたのは長い、少し肩ぐらいまでのロングヘア。 「まさかこんなことで役立つとはね…」 ラクスと出会い、女であることがばれた時のことだ。 切るには忍びない、とラクスに進められ、今まで伸ばしていた。 「…ラクス…」 ぼんやりと、彼女から貰ったネックレスを取り出す。 それを首にかけ、キラはフリーダムを隠して町へと向かった。 感傷に浸る暇は、今はないのだから。 悲しいけれど。 ざわざわ… 町中は喧騒に包まれ、にぎやかだった。 ここは被害が少なかった地域なのだろう。 とくに目立った傷跡はなかった。 歩く人々。 はしゃぐ子供。 笑いあう少年、少女達。 ヘリオポリスで見た光景が、頭をよぎった。 みんな、笑っている。 幸せそうに。 くすりと微笑んで、待ち合わせをしたカフェに向かった。 が、カフェには着いたものの、誰なのかわからない。 そもそも連絡を取った人物は、マルキオ導師が信頼できる人たちだと聞いた人物。 会ったことなど毛頭ない。 って、それじゃあまずい… 冷や汗がだらだらと流れる。 どうしよう… 時間を守らなかったら依頼受けてくれないかな… ああ…それとも誰なのかわかりませんでした、って言ったら平気かな… って、それじゃあ失礼だよ… やばい… もはやどうすることもできずにおろおろとしていた。 そんなキラを影で見つめる人物達がいた。 「そこのお姉さん、誰か探しているのかい?」 ふと、声をかけてきたのは20代半ばの青年だった。 「えっあ…はい…」 「じゃあ、こっちきなよ」 「…え…?」 キラの手をとり、青年は歩き出した。 その人物が優しい言い方だったことと、混乱していたキラにはその手を振り解くことなどできなかった。 周りの人達は、それを不思議に思う様子もない。 何しろ乱闘ではないし、暴力も振るっていないのだから。 だが、それとは違う動きをする人物がいた。 「あ…あの…」 青年はどんどん先へ進み、いつの間にか人気のないところまで来ていた。 キラの思考も漸く普通になり、今の状況が変なことに気づいた。 いつまでも放さないその手を、キラは力をこめて振り払った。 「放して!!」 「っ…いってえな…」 先ほどとは違う声音にキラは後ずさりした。 何で… 今までこんなことなかったのに… キラが疑問に思うのも無理はない。 今までキラが無事だったのは、男装をしていたから。 幼少期のころは、アスランが目を光らせていたからでもあったのだ。 つまり男装をやらなければ、キラは絶世の美女と言えたのだ。 そんなキラが一人で、しかもおろおろと迷っているところは、まさに狼に食われる羊だ。 食べてくださいといってるようにしか見えない。 もっとも、キラにはそんなことはまるでわからない。 「………」 後ろを向いて逃げようとする。が、すでに後ろには人が居た。 囲まれた… 唇をかみ締めて、キラは男達をにらみつけた。 「何のつもりですか?」 「何って…この状態になればわかるでしょ」 「!!」 突然後ろから髪をつかまれ、キラは目を見開いた。 つかまれる、腕。 身動きの取れない、体。 自分には、振りほどける力はないの? なすがままにされる悔しさに、キラは涙した。 どうして… 自分の力のなさに、呆れた。 スーパーコーディネイターなんていっても、普通の女の人と変わらない… それなのに、世界を壊す…? 自分には…無理…? ぼんやりと青い空を見つめ、目を閉じた。 「がっ…」 「何だ!!」 ………? 何…? 男達の悲鳴に、キラは閉じた目を開けた。 地面が、まず見えた。 そして、倒れた男。 逃げる男達。 「…………っ!」 ばっと、キラは飛び起きた。 そして丁度良く、最後の一人が地面に放り投げられた。 「!!」 顔を上げると、ばっちり目が合った。 自分と同じ、紫色の瞳。 でも、真っ黒な髪。 彼は驚愕の表情を浮かべ、形の良い唇を動かした。 「お前は…キラ・ヤマトか?」 |
あとがき
うわ・・・何かべただな・・・
しかもこの人出しちゃっていいのか?!