不思議な巡りあわせで





「完璧ネ♪」


アイシャはにこやかに微笑んで、レイを見た。


白のフリルのついたドレスで、首のあたりが大きく広げられレイの白いうなじが見えて美しさを醸し出していた。

その首にも、レイの瞳と同じアメジストがあった。


普段であれば綺麗だなぁ、で終わるのだが、自分が着ることとなるとそうは思えない。

第1自分にこんな綺麗な服が似合うわけが無い。


「こんな高そうな服、着れません!」


レイは慌てふためき必至に断るが、時すでに遅し。

アイシャはキラの腕を引っ張り、ドアの方へと歩き出していた。


「もう帰りますから…」

「いいカラ、いいカラ♪」


全く人の話を聞かないアイシャに半ばずるずると引きずられてついた先は一つの部屋の前。

ちらりと視線を辺りに移すと、周りには兵士が二人いた。



まずい…よね…



心の中で呟きながらゴクリと唾を呑み込んだ。

乾いた喉に生温い湿り気がきて気持ち悪かったが、覚悟をぐっと決めた。





「アンディできたわよ」




アイシャが言うのを聞いて、ドアを食い入るように見つめた。




「入りたまえ」




数秒もしない内に声が返ってくる。


この声はバルトフェルドさん…


心のどこかでホッとすると同時に気が引き締まる。


あの人はカガリたちの敵。

でも…

どうしてか憎めない。

それは自分がコーディネイターだからなのかな…


ここにいる人は皆私の同胞。

だから親近感がわいたりなんてするの…?



ブンブンと頭を振って自分の考えを否定した。



そんなことない…!

カガリのことだって同じように思うんだから。



…あ…だったらあの人はどっちだったのかな…



思うのは藍色の髪の人。



あの人はコーディネイターなのだろうか…?


なんとなくそうであったらいいと思う自分がいた。

ナチュラルとコーディネーター。

そんなことは関係ないと思いつつも、心の片隅でどこか違うと感じるところがあった。






「ダイジョウブ?」




アイシャが心配気に顔を覗かせた。




「!!…ごめんなさい…」




この人にはこういうことしてばかりだ…


恥ずかしくてうつむくと、彼女は目元を和ませた。




「ダイジョウブヨ。アンディはアナタを食べたりしないワ」




くすくす笑うと、少女はうつむいていた顔を上げて微かに微笑んだ。


「じゃあ、入りまショウ」


それを見て、満足気に笑いドアを開けた。









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